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DEAR HUMANS

​不死鳥

702.02.04

炎の中に飛び込み生まれ変わる姿を、

太陽と呼ぶ者もいた。──トマス・サイラー

幽霊のひみつ

1004.06.20

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一大事

1004.07.01

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語り部たち

1004.07.02

不可思議をその目で見たくなったら、森の奥のテントまでおいで

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道化のふたり

1004.07.15

「誰だって偽りの自分しか見せない。そうだろ?」

第5士官

1004.07.27

「失礼しま〜す」 気の抜けた声とともに扉が開き、黒ずくめの奇妙な男が現れた。珍妙な形の帽子に、立派な髭。その見慣れない服装から、全くの外部の者が入り込んできたのだとAESOP総司令のカワオリは思った。 「誰だ?今日は来客があると聞いていないが。きちんと手続きは踏んでもらいたい」 「ええ?ここに行けって言われたから来たんだけど……。カワオリ司令っていうのは、君……いや、あなたで合ってるんだよね?」 男は飄々とした態度で話を続ける。カワオリにとってはどうも日頃関わる人間とはかけ離れた部類の人間のようで、掴みどころがなかった。 「如何にも……それで、何用で来たのかね」 「なんか、AESOPの士官試験でいい成績を取ったから、今日から昇進だって。昨日そんな通達が来て、あなたに正式に認めてもらえば、上級士官になれるって聞いたよ」 怪しい男の発言の中に交じる、心当たりのある内容にカワオリは少しばかり言葉を失った。 士官試験。それは先月行われた。AESOPにおける戦闘技能の認定試験で、基礎体術から異人能力を用いた戦闘まで、任務に必要な最低限の能力を測るもの。 年に二度行われ、最近になってようやく成績表がカワオリの元に届き始めていた。 大雑把に言えば士官試験の結果次第でどの部隊に配属されるかが決まるのだが、この男の言う上級士官というのは、名前の通りAESOP内で最高階級にあたる。300名ほどいるAESOP隊員の中でも現在4名しかおらず、実力が認められなければ到底到達できるものではない。 そんな難関の道を、今目の前にいるふざけたような男が突破して来たと言うのか? 「……少し待ちたまえ」 カワオリは机の上に散らかった書類の山から、士官試験の結果の資料を探し出す。 あった。リストの中の最上位── 「ガンス・ヘールダック?」 「そうだけど?」 カワオリは再度男の姿を見やる。彼には腕が四本あった。先程までは後ろに組まれていたので気付かなかったのだ。今は全部の腕を前にして、退屈そうに伸ばしたり腰に当ててみたりしている。表情はわかりにくいが、こちらを不思議そうに眺めているようだった。 手元に視線を落とす。ガンス・ヘールダック……項目毎の数字から見て、射撃の試験で前例のない記録を叩き出していた。 「なるほどな。狙撃手としては申し分ない腕前だ。しかし、それだけでは上級士官になどなれぬだろう。そもそもそんな身なりでは……目立つだろうしな」 「えぇ〜?でもそういう連絡だったのに……てっきりあなたがそういう風に決めたんだと思ってたんだけど」 「配属に関しては人事部の方で決めているのでな。しかしこの成績……異人能力の試験の得点も高いが、お前の能力は?」 異人能力というのはその名の通り、異人としての特殊な力を使用し、戦闘に活かせるかの試験。例を上げればサイコキネシスだとか並外れた怪力だとか、そういったものだ。 「能力かあ。実は特に申告みたいなものは出してないんだよね。みんな、僕のこの姿を見ると変に納得して終わりだからさ」 「じゃあその多腕以外に異人としての能力は無いのか?」 「まあ、そんな感じ?銃の扱いがうまいことが異人能力として加算されちゃったのかな」 カワオリにはその言葉が少し腑に落ちなかった。多腕とはいえ、これだけの射撃の腕前が、能力に頼らない持ち前の技能だということにあまり納得がいかないのだ。 「……本当か?何か隠してはいないか?真正直に言うとお前、見るからに怪しいところしかないが、そもそもその目を隠すためのような帽子はなんだ?」 そう言うとガンスの口角が一瞬への字になったような気がしたが、またすぐにとぼけた様な声で、 「これ?外せと言われれば外すけど……」 そう言って帽子に手をかけた。 「僕の目を見るとみんな悲しそうな顔をするから。」 ガンスが帽子を外すと、そこには素顔が現れる。彼の瞳は凍りついたように白く、その瞳がどこを捉えているのかすらわからない。目元だけで先程までの印象を覆すような雰囲気に圧倒される。 「……まさか、見えていないのか?」 「いや?見えてはいるよ……もっとも、この目でというよりは、第三の目でみたいな感じだけど……」 その言葉の意味は理解し難かったが、もしかしたらこれが彼の本来の異人としての能力なのかもしれない。カワオリはそう思った。 「私の予想だが、お前のその目が射撃の腕を上げているのではないか?」 「あっ、よくお気付きで。こんな目になる前よりは色んなものが鮮明に見えたり、たまに見えちゃいけないものまで見えるときもあるけど、確かにそうなんだよ」 「こんな目になる前……?」 生まれつきのものではないということにカワオリはまた引っかかるところがあったものの、異人同士、出自や過去を詮索しないのが暗黙の了解だ。深くは聞かなかった。 「とにかく、そういった事は顔色なんて伺わずもっと早めに伝えたまえ。せっかくの昇進のチャンスを逃すところだったんだぞ」 「え、っていうことは僕ほんとに昇進させてもらえるの?」 「まあそういうことだ。その目について隠されていたことに対しては少し思うところがあるが」 「それは申し訳なかったよ。あんまり気を遣わせたくなくて」 カワオリは上級士官への昇進を認める書類にサインをした。 「晴れてお前は上級士官の仲間入りという訳だ。分かっているとは思うが、今までお前が所属していた場所とは任務の内容やレベルも全く違う。気を抜けば死ぬことだってある。甘く見るんじゃない。上級士官としての威厳を持て」 「ええ、わかってますよ。司令」 ガンスは書類を受け取ると、真面目な面持ちでそう答えた。

​50cmのあいだに

1004.07.29

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整備士は銃を握らない

1004.07.30

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静かすぎる夜を疑え

1004.08.07

嫌な予感がする。何とは形容しがたいが

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囚人

1004.08.09

追跡

1004.08.12

邂逅

1004.08.12

「俺たち友達だったこと忘れちゃったの?」

たとえばそれを信じたとして

1004.09.01

幻獣使い

1005.02.25

平和の象徴なんて、きっと誰も知らないんだろう

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